	図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―	144

花のある

この冬は、雪が少なく、春が待ち遠しいという気持ちが湧く前に春が来てしまったような気がします。しかも、２月３月と、休校や行事の中止などが続き、春休みをむかえても、にぎやかな声がなく、さみしい図書館です。希望に胸膨らむ季節が、不安に胸を重くすることになってしまっていますが、せっかくですから気持ちを切り替えて、楽しく過ごすヒントを図書館で探してみたいと思います。 ✿季節のことばで　気持ちの切り替えに、旧暦の活用はいかがでしょう？毎月のテーマ展示、館内装飾に悩んだときに頼りにするのが、季節、二十四節気と七十二候です。『七十二候の切り紙』（佐藤蕗野・著）を参考に切り紙を飾ってみたり、『二十四節気と七十二候の季節手帖』（山下景子・著）からは、季節に寄り添う暮らしのヒントになることば・表現を探したりしています。　日本には、春夏秋冬の四季のほかに、一年を二十四に分けた「二十四節気」と、二十四節気をさらに３つに分けた「七十二候」という季節があります。二十四節気は、立春から始まり、春分、夏至、秋分、冬至の四つの時期を経て大寒までとされ、それぞれの季節の特徴を現す名前がついています。例えば春の「立春」「雨水」「啓蟄」「春分」などはニュースなどで季節の移り変わりを表す言葉として耳にします。それがさらに３つに分けられて、ひとつ一つの季節に短いけれど美しい説明文のような名前のついた七十二候となるわけです。「春分」は、「雀始めて巣くう」「桜始めて開く」「雷乃声を発す」という３つの候に分かれます。数字だけではない、暦に表される豊かな言葉で季節のイメージを広げてそれぞれの春を過ごしてはいかがでしょう。 ✿お花見気分で　雪が少なかったので、雪かきがなくて、たいした良かったという話をしますが、その分意識的に運動された方は大丈夫でも、私はこれ幸いとインドア生活を続けてしまいました。ウォーミングアップということで、草木萌え出ずる春には、ただのウォーキングではもったいない、植物図鑑片手に近所でおさんぽをおすすめします。『美しき小さな雑草の花図鑑』（山と渓谷社）『散歩が楽しくなる雑草手帳』（稲垣栄洋・著）『散歩でよく見る花図鑑』（亀田竜吉・写真文）『「この花の名前、なんだっけ？」というときに役立つ本』（菱山忠三郎∥写真と文）などハンディサイズの図鑑をどうぞ。また、出先では写真を撮って、家に戻ってからじっくり調べてもいいですし、重～い図鑑は図書館でどうぞ。　そして春といえば「花」、花といえば「桜」、の季節、今年はどんな姿を見せてくれるのでしょう。お花見が自粛ムードですが、「桜狩り」はいかがでしょう？「紅葉狩り」や「蛍狩り」と同じで、探し歩く、訪ね求めるという意味の「狩り」で、「桜狩り」は桜を訪ね歩いて鑑賞することです。桜スポットめぐり、市内図書館の周辺にも桜の木がありますよ。 ✿本棚さんぽ　とはいえ、気忙しい季節でもある「春」です。　読書は、気分転換したいけど、忙しくて時間が取れない、でも読みたい！という方へ、スキマ時間に読める短編・アンソロジーの文芸作品ををおすすめしたいと思います。アンソロジーとは、複数の作家さんが同じテーマで書いた話をまとめたものです。そのテーマは多岐にわたり、定番の「恋愛」「ミステリー」「ＳＦ」「時代もの」や、河出書房新社のエッセイからの『うっとり、チョコレート』『ずっしりあんこ』その名も「おいしい文芸」シリーズなどもあります。ほとんどが短編集ですから、どこから読んでも楽しめる、どれを読むか読まないかも自由。何を読めばいいのか、新しい作家にチャレンジするきっかけにアンソロジーをどうぞ。今まで読んだことのなかった作家、読む機会のなかった作品との新たな出会いを求めてみませんか？外ではいろいろありますが、春は、出会いの季節、すてきな本にも出会えます。何かを始めるにはピッタリの季節ということに変わりはありません。（比内：岸） ✿新型コロナウイルスへの対応　いつ収束宣言が出るのか先が見えてきませんが、２月末から行ってきた小中高生の自習スペースの利用禁止措置を４月１日より解除します。ただ収束宣言が出ていませんので、細心の注意が必要と考えています。　栗盛記念図書館では、自習スペースとして使用できる場所は、１階は多目的室と児童コーナー、２階は資料室、参考図書室になります。１階の一般スペースを利用する場合には１卓に２名で対面することなく座っての自習とさせていただきます。　ほかの３館についても十分な距離を保ってのご利用をお願いいたします。　また、冊数無制限、貸出期間３週間の措置も、通常の冊数１０冊、貸出期間２週間に戻させていただきます。　利用者の皆様のご理解とご協力に感謝いたします。引き続きご協力をお願いいたします。 ✿くまさんカフェが来ます。　４月８日、15日、22日のいずれも水曜日です。このほかにもサプライズでの登場があるかもしれません。お楽しみに！（保）