図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      226
 
     
  人にやさしい本、あります  
     
 

 子どもたちの楽しかった夏休みも終わり、そろそろ学校が始まった頃でしょうか。海、夏祭り、花火などなど・・・この夏を十分に楽しんだことと思います。ここ図書館でも夏休みの間、友達と宿題をしたり、自由研究、読書に取り組む子どもたちで賑わいました。そんな8月も残すところあと1週間。暦の上では処暑。残暑はまだ厳しいものの、夏の暑さが和らぎ少しずつ涼しい風が感じられるようになり、朝夕が過ごしやすくなる時期です。又、この頃は昔から台風がよく来ると言われています。災害への備えをしつつ、これからやってくる本格的な秋を楽しみたいものです。
 過ごしやすい秋は、ゆっくりと読書を楽しむのに最適なシーズンです。自分に合った本を見つけ、じっくりと読んでみてはいかがでしょうか。よく、年齢とともに細かい字が読めなくなってきて・・・という利用者の方の声を聞きます。でも大丈夫です。図書館には本を読むのが困難な人のためにその人に合ったやさしく読める本を置いています。少しご紹介しますね。


✿大活字本
 視力の弱い方や高齢で文字が読みづらくなった方にも読みやすいように、内容はそのままに、文字の大きさや行間等を調整し大きな活字で組み直した本です。一般的な文庫本の文字の大きさが9~10ポイントの大きさに対して大活字本では1222ポイントの文字を使っています。書体も明朝体、ゴシック体などにして見やすくなっています。今、栗盛記念図書館では、普段置いている大活字本とは別にミニテーマコーナーに県立図書館からセットで借りた本を展示、貸し出ししています。今後も定期的に交換する予定ですので、普段見る事のできない本をぜひ手に取ってご覧ください。


✿わいわい文庫
 文字を読むことがむずかしい方のためのデジタル図書で、パソコンにより一人一人のペースに合わせて音声と一緒に文字や画像が楽しめます。『日本昔話の旅』や『ノンタンシリーズ』など、物語、昔話、伝記など、他にも多数のジャンルをそろえています。


✿ぬのえほん
 小さなお子さんにもやさしいフェルトで作った本です。見て、さわって楽しめる「ぬのえほん」は、絵本と教具、遊具の働きを兼ね備えた本です。『さかな』『だれのうち』『ちいさいおおきい』などがあります。こちらの本の貸し出しはできませんが館内で楽しむことができます。


✿LLブック
 福祉大国であるスウェーデンが生み出したLLブック。障がいの有無に関わらず、平等に生活する社会を実現させるノーマライゼーションの理念に基づき、スウェーデンで1960年代から出版され、北欧を中心に普及して世界へ広がりました。大きいサイズを示す「LL」と勘違いされそうですが、いわゆる「ビックブック」とは違い、スウェーデン語のレットレーストの略で、「やさしく読みやすい」という意味だそうです。かんたんな言葉、絵、写真を使ってやさしく読めるように作られた本で、イラスト、ピクトグラム(絵文字、絵言葉)などが豊富に使われており、難しい言い回しや漢字を使わずに、一文の文字量も少なめ、という特徴があります。また、海外からの渡航者で、日本語に不便である人でも分かりやすいと注目されています。言語障害へのリハビリテーションにも使われることがあります。『さんびきのこぶた』『わたしのかぞく』『はつ恋』などがあります。
 これらの本の他にも、点字付きのさわる絵本や、指先で感じながら楽しく学べる絵本『さわれるまなべるシリーズ』など多数あります。気になった方はカウンターまでお気軽にお尋ねください。皆さまのご来館お待ちしております。(栗盛・架)