図書館に行こうよ ―図書館職員の図書館的日常―      232
 
     
  平安時代に思いを馳せて  
     
 

 今年の夏は大変暑く、気象庁では「過去126年で最も暑い夏だった」との分析を発表していましたが、あの暑さも恋しくなるほどめっきり寒くなりました。あまりの暑さに「寒い方がまだいいのかな」とも思ったりしましたが、「やはり寒いよりは暑い方がいい」と思い直しています。寒さ本番はこれからというのに先が思いやられます…。

紅葉狩り
 今年は紅葉の時期に、休日に天候に恵まれとてもきれいな紅葉を見ることが出来ました。
 紅葉といえば「紅葉狩り」という言葉がありますが、「狩り」という部分に少し違和感を覚えますよね。「狩り」とは動物を捕らえることという意味を最初に思い浮かべますが、例えば「ぶどう狩り」はぶどうをもぎ取って集めるという意味ですんなり理解できます。しかし「紅葉狩り」といって本当に紅葉をもぎ取って集めることは基本しないのになぜ「狩り」と呼ぶのか少し気になったので調べてみました。
 辞典で「紅葉狩り」と調べてみると「山野に紅葉をたずねて楽しむこと、紅葉を鑑賞すること」等と記載されています。やはり紅葉をもぎ取って集めるという意味はないようです。ではこの「狩り」はどこからきたのでしょうか。いろいろ調べてみると、時は平安時代まで遡るようです。平安時代の貴族は自らの足で歩いて出かけるのはあまり品がないという価値観があり、牛車で出かけることが多かったのですが、紅葉を見に行くにしても山中を牛車で進むのは困難です。そこで、花や紅葉を見に山野へ歩いて出かけることを「狩り」に見立てるようになったと考えられています。狩りであれば歩いて出かけるのが普通なので恥ずかしくないということのようです(諸説あり)。
 「紅葉狩り」という言葉の由来を知ることができたので、来年は平安時代の貴族を思い浮かべながら、少し優雅な気持ちで「紅葉狩り」を楽しみたいと思います。


工作体験・しおりづくり
 11月4日・5日の2日間、比内図書館では比内公民館の芸術文化祭に合わせ工作体験としてしおりづくりを開催し、たくさんの方々に参加して頂きました。例年、参加者は幼児から高校生までを対象としていましたが、今年はどなたでも参加頂けるようにしました。毎年楽しみにして頂いているようで、朝一番に来てくれた子どもたちもいました。思い思いのイメージでとても素敵に出来上がり、喜んでいる姿を見るとこちらまでうれしくなりました。自分だけのオリジナル、お部屋に飾るも良し、お気に入りの本に挟むも良し、それぞれの場所で活躍してくれていることと思います。


心温まる一冊
 これからが冬本番で益々寒くなるなかで、少しあったかくなる本をご紹介したいと思います。

◎『ほお…、ここがちきゅうのほいくえんか。』てぃ先生著
 男性保育士てぃ先生が子どもたちのかわいらしい出来事をツイートしたものを、一冊にまとめた本です。タイトルは戦隊物が大好きな男の子が風邪をひいて一週間休んだあと登園して初めて言った言葉です。保育園で実際にあった楽しいエピソードが満載で、子どもたちの発想力にはびっくりさせられます。そして何よりてぃ先生が愛情一杯に子どもたちに接していて、子どもたちも先生が本当に大好きなのが伝わり先生と子どもたちの会話がとにかくほっこりします。他にも『保育士てぃ先生のつぶやき日誌 きょう、ほいくえんでね…‼』があります。
 子育て真っ最中の時期にこのような本に出合えていたらもう少し優しく穏やかな気持ちで子どもに向き合えていたのかな…とただ、ただ反省しきりです。今は孫を思い浮かべながら読んでいます。子育て世代はもちろん、日々忙しい方でもちょっと息抜きしたい、疲れている時に読むととても癒される一冊です。


『パンどろぼう』柴田ケイコ作
 パンどろぼうシリーズが大人気です。お茶目で憎めないパンどろぼうが今日も事件を巻き起こす!パンへの愛が純粋すぎるパンどろぼうが最後はどうなるのか…。シリーズ最新刊五作目は『パンどろぼうとほっかほっカー』。パンどろぼうの愛車が登場⁉ほかほかのパンとほかほかの思いをのせて、「ほっかほっカー」が走り出す!笑いと幸せが一杯詰まったお話しです。

 この冬、心温まる一冊を是非図書館で見つけてみませんか。(比内 久)